【FP監修】経営者保険のピークアウトにつきまして

目次

はじめに

みなさん、こんにちは。

今回は経営者(社長)の間で話題となっている、経営者保険(法人保険)の解約返戻金のピークの第一波が今年2025年に迎えるということについて述べていきます。

この問題は、2017~2018年に法人向けの生命保険で全損(支払った保険料が全額経費扱い)できるということで、非常に話題となった制度です。

全額経費扱いということで、利益の出た会社は何とかして利益を抑えたいということで、決算間近になってなんとかして損金を作ることに奔走していた経営者もいるでしょう。

その解約返戻金のピークが2025年を境に今後増えていくと予想しています。

その兆しに経営者保険の途中解約が増えてきています。

ところが、この全損タイプの保険は、その時の決算時には経費として算入でき、結果として利益の抑制につながり、法人税を減らすことができました。

ただ実質これは法人税を減らしているのではなく、正しくは法人税の繰り延べです。

課税の繰り延べなので、その時の決算時は経費として算入できても、解約返戻金があるため、どこかのタイミングで解約返戻金が出てきてしまい、それが雑収扱いとなります。

そもそも経営者保険とは、企業が加入して経営者の死亡や病気などの際に保険金がおりるもので、不測の事態に備えるため、主に中小企業が加入しているケースが多いです。

経営者保険の途中解約が増えている要因とは

経営者保険の途中解約が増えてきている要因の一つが、2018年頃にブームとなった「節税保険」の影響です。

当時、経営者の死亡等に備えて企業が加入する定期保険の一部は、保険料の全額が経費扱いと認められ課税の対象外でした。

そのため、保険料の支払いにより利益を減らし、法人税の負担を減らせるといった認知度が上がったのです。

例えば、当時の商品でいえば、60歳で加入し保険料を10年間支払った後に解約すると、支払った保険料の約85%が手元に入ります。

一方で、保険に加入せずに通常通りに法人税などを支払うと、利益のうち手元に戻るのは約66%となります。ゆえに、保険に加入した方が、手元に残るお金が約30%近くも多くなるような内容でした。

しかし、このような状況に対して、国税庁が課税のルールをゆがめる行為と問題視し、2019年に経費に関するルールを変更し、この保険の全額経費扱いの取扱いを禁じたのです。

ところが、このルールが適用されるのは新規契約のみであり、既存の契約は対象外です。

一般的に「節税保険」(商品名ではない)と呼称される保険は、解約返戻金がもっとも高い時に解約すれば節税効果が高いとされます。

そのタイミングは加入してから約5~10年くらいが多く、今年に入りそのピークになる保険が多く、そのピークを狙って企業が経営者保険を解約する事例が多いと見られます。

まとめ

ただこうして解約した保険から得られる解約返戻金を使って、新たな保険に加入もしくは保険に関する勧誘も多く見られますが、国税庁の経費ルールが変わったことによって、全損商品はなくなったため、節税保険と言われるスキームはもうなくなっています。

よって、その解約返礼金をどう生かすかは経営者の手腕にかかってくるでしょう。

一番最初に加入した時期は2018年頃であろうから、今は2025年。

かれこれ7年くらい経過しているため、もしかしたら会社を取り巻く経営環境もきっと変わっていることでしょう。

会社の状況に合わせて解約返戻金を上手く活用してほしいものです。

そしてここ最近多いのが、その解約返戻金を使って、新たな保険に加入しませんかといったような勧誘も多いと聞きます。

節税保険がまだ存在するならまだしも、もう全損商品は存在しないのです。

おそらくセールストークを変えて、経営者の退職金目的や従業員の福利厚生目的など、違ったセールストークで新たな保険を勧誘する動きも出ていると聞きます。

因みに今は節税保険のセールストークは禁じられています。

もちろんなんでもかんでも保険に加入してはいけないというわけではないです。

その企業の取り巻く環境に応じて保険は加入するべきですが、不必要なものや過剰な保険は加入するべきではないと考えます。

経営者保険と呼ばれる、いわゆる法人保険は、あくまで保険「商品」なので、購入すれば、万が一の時のリスクヘッジにはなるのは確かです。

しかし、そのリスクヘッジを得るための手出し(支出、ここでいう保険料)は間違いなくありますし、法人保険は保険料単価が個人保険と比べて高いため、企業の収益を圧迫するケースもあります。

経営者や保険担当者、はたまた税理士や公認会計士といった会計や税務のプロなどの有識者と一緒に、今後の会社の方向性も考慮しながら、経営者保険を組んでみてはいかがでしょうか。

会計士も税理士も保険に関しては詳しくない人も意外と多いです。

ここは保険担当者の腕の見せ所でもあります。

あくまで経営者の考えを第一に、しっかりとしたリスクマネジメントの話をし、会社を守っていくためにも、しっかりとした「保障」を届けて上げてほしいと考えます。

そして経営者の方も、保険に加入する意義をしっかり確認し、軸をしっかりもっていただき、経営者保険に対して真摯に向き合ってほしいと切に願うばかりです。

監修FP

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